院長の濱谷です。
COVID-19(新型コロナウイルス)によってウイルス対策が注目されております。その中で歯科とくに「口腔ケアを行っている方は重症化しない」ことが分かってきました。いったいなぜなのでしょうか?
少し長いので、ポイントを3回に分けてお話しします。
今回は1回目「舌磨き」についてです。
■ウイルス増殖防止の決め手は舌磨き。
COVID-19は人体に入るためにターゲットとする細胞にACE2という変換酵素を利用して結合します。ACE2という酵素は糖尿病治療薬や高血圧治療薬(ACE阻害薬やARB)、消炎鎮痛薬(イブプロフェン)の使用で増加することが分かっております。武漢で調査した結果、重症化した患者さんは心臓疾患、高血圧、糖尿病患者でACE2阻害薬を用いて治療されている人とイブプロフェンを常用している人が多いという報告があったのは、このためと考えられます。またCOVID-19が血管にあるACE2受容体を攻撃し、血管を傷つけるということが明らかになりました。血管が傷つけられると修復しようとして小さな血栓(血液の塊り)が生まれます。血栓が剥がれて心臓や肺の血管に詰まると心筋梗塞や肺梗塞になります。海外では若年者の「川崎病」類似の血管炎が注目されていますね。つまり現状ではACE2を減少させることが重症化させない一方法なのです。
ACE2は心臓、腎臓、精巣、唾液腺、副鼻腔、肺上皮細胞、小腸、腎臓、血管とあらゆる器官に確認されますのでCOVID-19が侵入して増殖する部位によって症状の変化が見られますが、実は舌の上と口腔粘膜にも多く存在します。そして舌と口腔粘膜だけが唯一自力で減少させることができる器官なのです。なによりも口はウイルスとのファーストコンタクトの場所です。「常に舌と口腔粘膜もケアしましょう」
(引用:Lancetの発表より)