院長の濱谷です。
COVID-19(新型コロナウイルス)の発現によって、口腔ケアによるウイルス対策が注目されております。その理由を3回に分けてお話しします。
今回は最終回、「サイトカインストームと口腔ケアの関係」についてです。
■サイトカインストームの防止に口腔ケアを!
「サイトカイン」とは細胞から出る指令伝達のためのたんぱく質です。主にカラダを守るために外敵がいる場合多く放出されます。これが過剰に放出された場合、血液の凝固異常が起き、血栓形成が起こります。これを「サイトカインストーム」と呼びます。つまり、今回のCOVID-19では前述のようにウイルスが直接血管を傷つける血栓症とカラダが危険回避のために出したサイトカインが引き起こす血栓症の2つのパターンで重症化していることが分かっています。
歯周病菌が全身に及ぼす影響もグラム陰性菌から出る内毒素(エンドトキシン=LPS)が血流に入ることにより起こるエンドトキシン血症(菌血症)が初発です。歯周病菌は歯肉粘膜から直接血管内に入り多くの血栓を作ります。ウイルスはその菌を利用して侵入・増殖すると考えられます。サイトカインストームを防止するためにこれまで以上に歯磨きとフロッシングが重要ですね。
また、東京医科歯科大学の近年の研究では老人保健施設において、歯科衛生士がプロフェッショナル口腔ケアを行ったグループは、(歯科衛生士がプロフェッショナル)口腔ケアを行わなかったグループに対して「季節性インフルエンザの発症率が1/10」であった、という報告がありました。
つまり、健康弱者ほどプロフェッショナルの口腔ケアが必要なのですね。
<前回のお話しはこちら↓>
「歯周病菌が低下するとウイルスも低下する」